獣医療の発達により犬猫の寿命が長くなるとともに、腫瘍を患う犬猫に出会う機会も増えています。目に見える体表の腫瘍や無症状で進行する内臓の腫瘍など、できる腫瘍も様々で、必要な検査や治療も多岐にわたります。同じ腫瘍でも方針は一つではなく、年齢やQOL(Quality of life:生活の質)を考慮し、ご家族のご意向を尊重した治療が出来るように心がけています。各大学病院での経験なども踏まえ、より良い治療が提供できるよう努めております。

腫瘍の治療

手術

腫瘍に対して最も有効な治療法です。
治療的手術では初回切除が根治に重要となります。

  1. 腫瘍の種類、グレード(転移など)
  2. 局所的・全身的な腫瘍による影響
  3. 外貌や機能を温存したまま可能か
  4. 代替的な治療法の有無

腫瘍や症例により性質が大きく異なるため、サージカルプランニング(術前計画)が必要となります。

放射線治療

頭頚部(口、鼻、脳など)の手術不適応腫瘍や体表悪性腫瘍などに用いる治療です。他腫瘍に対しても様々な方法が実践されています。
当院には放射線照射装置はなく、近隣施設(大学病院)へのご紹介となります。
放射線治療の適正や代替治療の有無などのご相談に対応します。

抗がん剤治療

抗がん剤治療は様々な目的があります。

導入治療 リンパ腫のように化学療法で寛解を目指す治療
維持治療 寛解状態を維持する治療
術後治療 手術や放射線治療後の転移・進行抑制を目的とした治療
術前治療 手術前に腫瘍を小さくすることを目的とした治療
レスキュー治療 再燃した腫瘍に対する治療
緩和治療 手術不適応の腫瘍の臨床症状を抑えることを目的とした治療

抗がん剤を投与する目的や投与することによる目標、治療のゴールをしっかりと見据えて治療を行う必要があります。

緩和ケア

「がん」そのものへの治療と併せて、がんに伴う症状のケアはとても重要です。

  1. 疼痛管理
  2. 栄養管理
  3. 腫瘍に伴うその他の症状の緩和

がんを患う多くの犬猫は少なからず疼痛や苦痛を感じます。がん治療と並行して、可能な限りそれらを取り除き、犬猫およびご家族のQOL(Quality of Life/生活の質)を維持し、穏やかな日々を過ごすことが重要です。がん後期には自力採食や投薬などが困難でケアが十分に行えず、見守ることしか出来ない場面にも遭遇します。自宅でのケアができるように持続パッチ型の鎮痛薬や経鼻・食道廔カテーテルなどを推奨しています。

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