フィラリアの予防

フィラリアは、蚊が媒介する寄生虫で、主に犬の心臓に寄生しますが、最近では猫への寄生も確認されております。
昔から、犬の死亡原因の上位を占める怖い病気で、特にこのあたりの地域では、まだまだ濃厚な感染が見られ、犬猫を飼うには、必ず予防が必要です。
最近では、投薬しやすいようにいろいろな剤形のものが出ています。
予防で肝心なことはどの薬においても、必要な期間、確実に投薬することです。

フィラリアの検査は必要?

フィラリアの予防を始める前には、現在愛犬がフィラリアに感染してないかどうかの検査が重要です。検査をする主な理由は以下の2点です。

? 感染している犬に予防薬をあたえると、ショックを起こす恐れがあるため感染の有無を確認
? 前回の予防がうまく行えたかどうかの確認

うちの子は大丈夫!と思っていても、次のような場合もあるのです。

? 薬の吐き出し(実はよくあります)
? 室内だから大丈夫(室内にも蚊はいます)
? 投薬の忘れ(投薬日のズレ、忘れ)
? 旅行先での感染(蚊の生息時期に違いがあります)

いつからいつまで予防すればいいの?

基本的には、蚊が出始める時期から始め、蚊が出終わってから1ヶ月ご間後まで行います。
一般的には4月の終わりから11月の終わりぐらいまでが予防期間となります。
しかし、実際には、その年の気温の変動や、地域の違い、周りの環境などの条件によって変わってきますので(近くに暖かな排水溝がある場合や、周りが暖かな環境では通年投与が理想的です)、予防の期間については、当院の獣医師やスタッフにご遠慮なくご相談ください。

どんなタイプのお薬があるの?

予防薬にはいろいろな種類がありますが、どのお薬もきちんと投薬すれば100%フィラリアを予防することが出来ます。ここで大切なのは、必ず製薬会社がフィラリアの予防薬として販売しているお薬を使うということです。

当院で使用しているお薬は、次のようなものがあります。

小さく食べやすいチュアブルタイプです。
フィラリア予防薬の中では、用量が極めて微量で効果があり、低用量なので、子犬、妊娠犬、コリー系犬種にも安全・安心して使える、「モキシデクチン」という成分です。

チュアブルタイプ
月に一回、背中の皮膚に液体を滴下するタイプの予防薬です。
内服のように、飲んでくれなかったり、後で吐き出してしまう心配もありません。
また、同時にノミとミミヒゼンダニの駆虫・予防も出来ます。
滴下して、約2時間たてば水にぬれても平気です。

スポット剤(滴下式)タイプ
モキシデックの注射薬のタイプで、毎月の投薬のわずらわしさがありません。
一回の注射で6ヶ月間、予防効果が続きます。
     ↓
1年間予防できる注射が発売されました
(以前に半年の注射タイプを使用しているワンちゃんは、1年用に切り替えさせていただきます。)

注射薬

また、獣医師により安心・確実に投与できるため、初年度にフィラリアの検査を受けていただければ、次回からの検査の必要もありません(場合によっては次年度も必要になることがあります)。
初回の注射を受けていただければ、翌年(12ヵ月後)からの予防はこちらからお知らせのハガキが届きますので安心です。
一年のうち、いつからでも始められますので、他剤からの途中での切り替えも出来ます。

初年度のフィラリア検査は必ず必要になります。
また、混合ワクチンなどの他の予防注射との同日接種はできませんのでご注意ください。

どのタイプのお薬にするか、料金等については、当院受付もしくはお電話でも結構ですので、お気軽にスタッフにご相談ください

定期駆虫

お腹の中に寄生する虫の予防のお話です。
これらは「人畜共通感染症」とよばれ、濃厚なスキンシップで人にも感染することがあります。
きちんと予防すれば、感染は防げます。

症状がなくても、感染している?

おなかの虫は、ノミなどの外部寄生虫と違って目に見えないうえ症状も出にくいため、見過ごされがちです。
次の症状を見せ始めたら、かなり感染している可能性が高いかもしれません。

●元気がなくなる ●動作が鈍くなる ●消化不良や下痢 ●おなかがふくれる
●異嗜症(食べ物でないものを食べる病気) ●発育不良 ●粘血便や貧血

なぜ、うちのコのおなかに虫が?

次のような感染経路があります。

検便をすれば、大丈夫?

検便で虫の卵が見つかれば寄生は確実ですが、陰性であっても安心はできません。
寄生虫には、プレパテントピリオドといい、虫卵や幼虫などを排泄するまでの日数があるので、その期間であれば、虫の卵は見つけられません。
また、卵は、糞便中に均等に分布しているわけではないので、見逃される可能性もあります。

ペットのおなかに寄生する虫は?

回虫 虫の卵を口から飲み込んだり、母犬の胎盤や乳汁、母猫の乳汁からも感染
鈎虫 幼虫を口から飲み込んだり、皮膚、母犬の胎盤や乳汁からも感染
瓜実条虫 幼虫を持ったノミなどを飲み込むことで感染
マンソン裂頭条虫 幼虫を持ったカエル、ヘビなどを食べることで感染
エキノコックス 幼虫を持った野ネズミなどを食べることで感染
猫条虫 幼虫を持ったネズミなどを食べることで感染
犬鞭虫 虫の卵を口から飲み込むことで感染

うっかりスキンシップにご用心!

ペットに寄生するおなかの虫は、人にも感染してさまざまな病害をもたらします。
次のようなペットとのスキンシップ、していませんか?
もし、ペットに寄生虫がいたら、あなたにもうつりかねない、とても危険な行為です。

赤ちゃんや小さなお子様がいたら、もっと気をつけて!

予防方法は?

犬・猫ともに、生後4ヶ月までは、1ヶ月に1回、その後は3ヶ月に1回(年4回)、お薬を使うだけです。  

当院で使用しているお薬は次のようなものがあります。

犬用駆虫薬(錠剤)です。
犬回虫・犬鈎虫・犬鞭虫・瓜実条虫の駆除

ドロンタールプラス錠

予防注射(ワクチン)

犬のワクチン

ワクチンで予防できる犬の病気にはつぎのようなものがあります。

犬ジステンパー

発熱、下痢、神経症状などが起こり、全身がおかされ、治ってもいろいろな後遺症に悩まされます。死亡率も高く、怖い病気です。

犬アデノウイルス2型感染症

アデノウイルスによる感染症で、肺炎や扁桃炎などを起こします。

犬伝染性肝炎

こちらもアデノウイルスによる感染症で、肝炎を主とし、嘔吐や下痢、食欲不振などが起こり、目が白く濁ることもあります。子犬では突然死することもある怖い病気です。

犬パラインフルエンザ

パラインフルエンザウイルスによる呼吸病で、咳や鼻水、扁桃炎を起こします。アデノウイルスや細菌と一緒に「ケンネルコフ」と呼ばれる犬のカゼ症候群を引き起こします。

犬パルボウイルス感染症

血液の混じったひどい下痢や嘔吐を引き起こす腸炎型がよく知られていますが、子犬に突然死をもたらす心筋型もあります。伝染力が強く死亡率も非常に高い怖い病気です。

犬コロナウイルス感染症

腸炎をひき起こす感染症です。下痢や嘔吐が起こります。パルボウイルスと混合感染すると症状はいっそう重くなります。

犬レプトスピラ病

細菌によって腎臓や肝臓がおかされる、人と動物共通の怖い病気です。代表的なのは、歯ぐきの出血や黄疸が見られる黄疸出血型と、高熱、嘔吐、下痢を起こすカニコーラ型の2種ですが、このほかにもいろいろなタイプがあるので、注意が必要です。アウトドアで活動する犬は予防が必要です。

猫のワクチン

ワクチンで予防できる猫の病気には次のようなものがあります。

猫ウイルス性鼻気管炎

ヘルペスウイルスによる感染症で、ひどいクシャミ、せき、鼻炎などの呼吸器症状のほか、結膜炎を引き起こします。高熱で食欲はなくなり、鼻水と涙で顔中クシャクシャ、典型的なカゼの症状が見られます。

猫カリシウイルス感染症

かかり始めはクシャミ、鼻水、発熱なっどウイルス性鼻気管炎に大変よく似ています。症状が進むと舌や口の周辺に潰瘍ができることもあり、また、時には急性の肺炎を起こして死亡することもあります。

猫汎白血球減少症

白血球が極端に少なくなる病気で、パルボウイルスが病原体。高熱、嘔吐、食欲がなくなり、下痢が始まると脱水症状となります。体力のない子猫などは、たった一日で死ぬこともある怖い病気です。

猫白血病ウイルス感染症

持続感染すると80パーセントが3年以内に死亡します。白血病やリンパ腫などの血液のガン、貧血、流産などを起こします。病気に対する抵抗力(免疫)が弱まるため色々な病気も併発しやすくなります。感染してから発病までの期間が大変長く、その間は見かけ上健康に見えますが、ウイルスを唾液中に排泄しつづけ、他の猫にうつします。

猫クラミジア病

クラミドフィラ フェリスによる感染症。菌は目や鼻から進入するため、結膜炎、鼻水、クシャミ、セキが見られます。肺炎を起こすこともあります。人に感染して結膜炎が起きた例も報告されています。

猫FIV(猫エイズ)症  ※ワクチンの製造中止により接種できません

感染猫の唾液や血液にウイルスが含まれていて、猫同士のケンカによる噛み傷から感染します。初期に下痢や発熱が見られますが、多くの場合症状は消え外見上は回復したように見えます。この期間は数年以上も続き、この間も病気はゆっくりと確実に進行してゆきます。また、他の猫への感染源ともなります。
この後、免疫機能が低下し、慢性で治りにくい口内炎や鼻炎、頑固な下痢などがみられ、さらに進行すると、著しい体重の減少や貧血、悪性腫瘍などがみられたりします。こうなると多くの場合、数ヶ月以内に死に至ります。

ノミ・マダニの予防

ノミについて

犬や猫に寄生したノミの成虫は、24〜48時間後にその体の上で卵を産みます。
卵は体から落下して、ペットの寝床やカーペット、畳などでふ化。
成虫となり、再びペットに寄生します。
そしてその成虫がまた卵を産み落とし・・・。
これが何回も繰り返されます。
ペットの体に成虫のノミが5匹ついていたら、その周囲の環境には、なんと95匹の未成熟期のノミ(卵・幼虫・さなぎ)が潜んでいるといわれています。

そして、室温が13℃もあれば、ノミのライフサイクルは循環するので、ノミにとって日本の家は1年中天国のような居心地なのです。

室内でかっているからといって、安心してはいけません。
近所を散歩させただけで、寄生したり、また、人間が外から持ち帰ってしまうこともあります。
ノミは知らない間に忍び寄ってきています。

ノミの被害

ノミアレルギー性皮膚炎

吸血により、その唾液成分が体内に入ることで、アレルギー反応がおこり、激しいかゆみや湿疹、脱毛などを伴う皮膚炎を示します。
一度この状態になると、その後、わずかなノミの寄生でも皮膚炎に悩まされます。

瓜実条虫(サナダムシ)

体調50cm以上になることもあるサナダムシ。
ノミの幼虫が条虫の卵を食べ、その体内で発育します。
成虫になったノミをペットがグルーミングなどで食べてしまうことにより小腸に寄生し、下痢や嘔吐の原因になります。

猫引っかき病

バルトネラ ヘンセレという菌によって起こる病気で、感染猫から他の猫へノミが媒介します。
猫には症状は出ませんが、感染した猫に人間が引っかかれたり、かまれたりすると、リンパ節が腫れて発熱や頭痛をおこすことがあります。

マダニについて

寄生と吸血により、恐ろしい病気の原因になります。

マダニは、ペットの頭や耳など皮膚の薄い部分を選んで寄生します。
そして、くちばしを刺して、セメントのようなもので固定するので、簡単には離れません。
吸血と唾液の分泌を交互に繰り返し、病気を媒介します。

散歩時、要注意です。
やぶや草むらなどに生息するマダニは、ペットの散歩時に寄生する機会を狙っています。
この恐ろしいマダニは、日本各地に生息しています。

マダニの被害

犬バベシア症

バベシア原虫が赤血球に寄生、破壊することによる貧血、発熱、食欲不振や黄疸などが見られ、死に至ることもある恐ろしい病気です。
治療をおこなってもバベシア原虫が体内から完全に消失することはありません。

猫ヘモバルトネラ症

猫の赤血球表面に寄生するヘモバルトネラというリケッチアが原因となり、貧血、発熱、元気消失などの症状がみられます。
咬傷の他、マダニやノミが媒介する病気です。

ライム病

マダニからペットや人にも感染。
犬では、主に神経症状、発熱、食欲不振など。
人では、感染初期に遊走性紅班、その後皮膚症状、神経症状、関節炎などの症状がみられます。

その他の病気

炎症性肉芽腫、犬ヘパトゾーン症など。

当院で使用しているお薬は次のようなものがあります。

フロントラインスプレー

  • ノミの成虫に対しては犬で最長3ヶ月、猫で最長2ヶ月、マダニには約1ヶ月効果があります。
  • 犬・猫ともに生後2日齢から使用できます。
  • 全身に適量をスプレーします。
  • 大量に寄生したノミ・マダニの迅速な駆除にお勧めです。

レボリューション6%

  • ノミ駆除・ノミ寄生予防・ミミヒゼンダニ駆除
    ・フィラリア症予防・回虫駆除(猫のみ)が同時に出来ます。
  • 月1回背中に滴下するだけの簡単投与です。
  • 6週齢の子犬・子猫および妊娠中・授乳中でも使用できます。
  • シャンプー前後の投与も可能です。
  • 動物用医薬品です。

レボリューション12%

  • 犬用です。
  • フィラリアの寄生予防、ノミ及びミミヒゼンダニの駆除、ノミ卵の孵化阻害及び殺幼虫作用によるノミ寄生予防。
  • 6週齢の子犬から、及び妊娠中・授乳中にも使用可能です。
  • 月1回、背中に滴下するだけの簡単投与です。
  • シャンプー前後の投与も可能です。
  • 動物用医薬品です。

狂犬病予防注射

狂犬病は、人が発症するとほぼ100%死に至る恐ろしい伝染病で、今でも、世界中で毎年3万人以上の方が、狂犬病で命を落としています。
わが国では、幸いにも最近での発生は見られていませんが、交通の発達した現代では、海外からいつ狂犬病が進入してもおかしくない状況です。
日本では、狂犬病は「狂犬病予防法」という法律で、飼い犬は毎年1回の接種が義務付けられています。
また、子犬は生後3ヶ月から注射と登録が必要です。(登録は最初の一回のみです)

料金は、滋賀県の場合
   
 登録料  3000円 (最初の一回だけで、以降は注射料のみ)
 注射料  3400円 → 3500円 (2020年度~)

 となります。
お近くの集合注射か、動物病院に連れていって、必ず受けるようにしましょう。

当院では、特に予約などの必要はありませんが、以前注射を受けたことがあるようでしたら、ご来院の時に、愛犬カードを持ってきていただくと受付がスムーズです。(もし、お忘れもしくは紛失なされても、その場で再発行いたします)注射および登録料金は、集合注射と同じになります。 

食事管理

人間と同じように犬・猫にも必要な栄養素があります。しかしその必要量やバランスは、人間はもちろん犬と猫でも異なります。また、一生涯の中でもそれぞれの成長段階や、体調によっても、必要な栄養のバランスが変わっていきます。
健康の維持・管理において「食事」が占める割合はとても大きく、疾患の中にはお薬での治療よりも食事管理の方が重要な場合もあります。質が良く、その子に適したフードを選び、給与量をきちんと決めて与えましょう。

主食

当院では、健康な子に与えるフードとして、ファーストチョイスにベッツプランシリーズをお勧めしています。嗜好性の良さや、体質・ライフステージに合わせた幅広いラインアップが特徴です。認定を受けた栄養管理アドバイザー(VTスタッフ)がおりますので、今までの食事に不安のある方、食事の変更をお考えの方、興味のある方はお気軽にご相談ください。
また、疾患のある子には、その症状に合わせてロイヤルカナン製品またはヒルズ製品をお勧めしています。

ホームセンターなどで市販されているフードを使用する場合は「総合栄養食」と表示されているものを主食に選びましょう。「副食」や「一般食」などと表記されているものは食事の嗜好性をよくするための“おかず”であり、それだけを食事として与えると栄養が偏ってしまいます。

おやつ

ジャーキーやビスケットなどの「おやつ」は、嗜好性は良いですがついつい与え過ぎてカロリーオーバーになってしまったり、食事よりもおやつが主食なってしまい、栄養のバランスを崩してしまうことがあります。しつけのごほうびには1日に与えるフードから少し取り分けておいて与える方法が良いでしょう。
しかし、「たまには美味しいものもあげたい!」と思ってしまうのが親心というもの。おやつをあげる場合はその分の食事の量を減らすなどしてカロリーを調整してあげてください。(1日の食事量のうち、おやつの割合は20%位までにしてあげてください。)
当院にもおやつや、おやつ代わりに与えられるフードやガムなどをご用意しております。

食事を切り替える場合の注意点

新しいフードに切り替える場合、新しいフードを警戒してなかなか食べてくれなかったり、急に切り替えるとお腹の調子が悪くなる事があります。
今までのフードに新しいフードを徐々に混ぜながら、7〜10日かけてゆっくり切り替えましょう。

食べてはいけないもの

ネギ類などの人間にとっては美味しい物でも、犬・猫にとっては重篤な症状を引き起こす危険な食べ物があります。人間の食事を与えるのは勿論のこと、人の目を盗んでこっそり口にする事の無い様に気をつけましょう。(食べると危険なものについてはよしながだよりVol.1をご覧ください)

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